Sapporo Java Days

遅くなりましたが、札幌Javaコミュニティでは7日(土)にSapporo Java Daysを開催しました。
浅海智晴氏にモデリング関連の話を、ひがやすを氏にSeasar2Slim3の話を、それらに加えて地元コミュニティの紹介などといった内容です。

モデリング

浅海智晴さんのセッションは、主にモデリングの初学者向けの手法で要件からモデリングの入口までをマインドマップを使って行うマインドマップモデリングと、モデリングを行いつつそれがプログラム(ソースコード)となるモデグラミングを提唱するSimple Modelingに関するお話でした。
一般的にWebアプリケーションを作成するレベルでは本格的なモデリングを採用せずに設計して実装する事が多いのですが、クラウドが本格的に採用されてくると基幹系はともかく情報系のアプリは外部システムとの連携が多くなり、状態の管理、相手サービスが落ちていた時の処理など、これまで以上に複雑になる可能性があると話されていました。また、単純なコーディングはオフショアなどに押されている所もあり、国内のエンジニアにはモデリングが出来ることが求められてくるだろうとの事です。Simple Modelingではそんなクラウド時代のモデリング手法として、モデリングとプログラミングを融合して行い、コードの自動生成まで行おうという試みです(参考:http://www.edge2.cc/)。
午後のSimpleModelingのお話はまったくモデリングに関する予備知識がないとかなり難しいものだったと思います。私は去年から勉強会でやってきたICONIXの知識もあり色々と知識の補完ができました。手法は違えどもモデリングというテーマについて幾つかの視点でみられ有意義でした。
マインドマップを用いたモデリング手法は、モデリングに慣れていない人を対象に演劇のメタファを使う事で導入しやすくするという試みで、昨年の勉強会でも1回とりあげた事があります。モデリングの最初の作業である「数ある情報を整理するという作業」がマインドマップが相性悪いわけありませんね。
浅海氏は年に数回は札幌を訪れるということで、モデリング系は札幌Javaコミュニティの特色になりそうです。

Seasar2Slim3について

ひがやすを氏のセッションは、リリースの近いSlim3Seasar2のプロダクトについてのセッションでした。Slim3は実際にリリースの近い動くコードがある状態での初セッションでした。
Slim3はシンプルなフルスタックフレームワークです。何故今Seasar2もありSeasar3ではなくSlim3なのかと思う所もあったわけですが、見事にその疑問を解くセッションだったと思います。簡単に理解した事をまとめると、「Seasar2はほぼ完成されており高機能で安定しているが、Slim3はそのエッセンスを継承しつつあまり使わない機能は含めないパッケージングを目指している」という事です。機能的には Seasar2の方がリッチですが、その分、学習コストは多くかかります。Slim3ではプロダクトの選択も含めてシンプルさを追求しているわけです。決して主要機能のみを抽出した廉価版というわけでなく、実績から導いた理想形を1つのパッケージに詰め込んだまさに濃縮版といえるのではないでしょうか?
Seasar2に関するセッションは、S2JDBCのデモを中心に Javaの開発が楽しくできる事を実践していただきました。資料による講演も良いですが、実際にコーディングを見ると説得力も段違いです。内容としてはいくつかSeasar2を使ったプロジェクトをやってきており、2度ほどひが氏の似たコンセプトのセッションを見た事のある自分には少し物足りませんでしたが、参加者の方には最も好評だったようです。そして、なにより30分以上に渉る質疑応答は面白かったです。日本人は質疑応答などで遠慮しがちですが、1つ2つ質問があがり時間もあるよとなると次から次へと手があがります。何だかんだと参加者の半分くらいの人は質問をしたのではないでしょうか?それぞれについてサンプルや実際にコーディングをしながら説明を受け、非常に有意義な時間を過ごすことができました。

コード解説

夜の部はひが氏によるSlim3Seasar2のコードのポイント解説となりました。自分は比較的に他人のソースコードを読むことが少なく、問題が起きた時に調査がてら読むことが多かったのですが、これからはもっと読み込むような習慣をつけていきたいです。Slim3は重要な機能が濃縮されているためコードリーディングには最適とのことですから、コミュニティでの勉強会でもやっていきたいですね。夜も遅く、参加者もあまり多くありませんでしたが、残った人はかなり真剣に聞いていたようです。

まとめ

その他、Ruby札幌、北海道開発オフ、CLR/Hの皆様によるコミュニティの紹介や軽い技術よりのライトニングトークなど、丸1日てんこ盛りでした。少し長丁場すぎた感、タイムスケジュールが上手く回らなかった点など、いろいろと反省点はありましたが、参加された方には概ね好評でほっとしております。
これからも普段の勉強会をやりつつ、年に1回くらいはイベントを開催したいですね。札幌のJava関連エンジニアの方、是非、勉強会に参加してみてください。