35-超人の神話

プログラマが知るべき97のこと」の35個目のエピソードは、エスパー(超人)に関する話です。このエピソードでは超人という言葉で語られていますが、エスパーという方が馴染み深いかもしれません。以前、誰かに聞いたことがあるのですが、欧米の人よりも日本人の方がエスパーとしての能力は高いとの事です。英語のMLやBBSなどでは、エピソードにあるような「例外が発生するが原因はなんだ?」みたいな質問に対して回答されることはほとんどないそうです。ですが、日本人の場合、どうしてそんな事が解るのか?というエスパーじみた回答を行い、質問者を救済することは偶に見かけます。おそらくは、日本人の性格的な部分や文化的な部分が影響しているのでしょうが、面白い傾向です。
このエピソードでは、プログラマは超人ではないので無茶ぶりは止めてあげて欲しいという点と、超人のようなスキルは才能ではなく努力の結果であり、誰もが習得可能なものだという事が書かれています。そして、彼らは超人のような未知の存在ではなくエキスパートであると認識しようと書かれています。
エキスパートになるためには努力が必要です。とはいえ、「22. 1万時間の訓練」でも書かれているように、地道に努力を重ねれば誰でも慣れるのです。ですが、単純に考えると彼らにとって「誰でも慣れる」というのは都合が良い話ではありません。高度な専門性を持ち自分がやっとたどり着いた領域に後から悠々と近づいてくるのですから、そう思うのも仕方ないですしょう。
自分は、エキスパートになるためにもう1つ必要な要素があると考えます。それは、師匠と呼ばれるようになる事です。エキスパートと呼ばれる人の特徴として、人を惹きつける魅力があります。それは講演であったり、著書であったり、ブログの記事であったり様々ですが、他のエンジニアに影響を与えています。時にはそれが信者を生みだし、困ったことになることもありますが、師匠と仰がれるエンジニアにはそれなりの実力と影響力があるのです。弟子*1は師匠の教えを守り、鍛錬を続け、新たなエキスパートになります。そして、新しい弟子を作り、技術も文化も伝承されるのです。師弟制度と技術の伝承は「ソフトウェア職人気質」でも触れられています。本来は会社で師弟制度や文化と技術の伝承が行われていくのがあるべき姿なのでしょう。しかし、企業文化は職人気質にはなかなか馴染みません。会社外のコミュニティに師匠を求めるのは致し方ないことかもしれません。
自分もエキスパートと呼ばれるようになるため、努力を続けたいと思います。

ソフトウェア職人気質―人を育て、システム開発を成功へと導くための重要キーワード (Professional Computing Series)

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プログラマが知るべき97のこと

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*1:多くの場合は自称です